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概要:
小児弱視は世界中で約3%の子どもに発症する視覚発達障害であり、早期治療が重要な人類共通の課題である。UEC国際社会実装センターは、この課題に対してタブレット型視機能訓練装置「オクルパッド(Occlu-Pad®)」を開発した。
オクルパッドは、両眼を開放したまま弱視眼のみを選択的に刺激するゲーム型訓練システムである。従来の眼帯治療と異なり、非接触型であるため結膜炎などの副作用がなく、治療コンプライアンスが有意に高く、視機能の回復も有意に早いことが臨床試験で実証されている。ゲームを通じて楽しみながら訓練できるため、特に幼児の治療継続率が大幅に向上した。本装置はクラスⅠ医療機器として承認され、保険適用および診療ガイドライン掲載を経て、全国の病院・クリニックに普及している。
開発においては、東日本大震災被災企業との協業により製造体制を構築し、地域産業振興にも貢献した。また、「ゲームボーイ」「ゲームウォッチ」「十字キー」を生み出した横井軍平氏が創設したゲームデザイン企業と連携し、医療機器にゲームの楽しさと継続性を組み込む新領域を確立した。さらに、幼児の触覚学習を促す導電性ブロック「Tangi-block」を併用することで、視覚と触覚を統合した訓練システムを実現した。
国際展開として、インドとウズベキスタンで臨床試験を実施中である。各国の医療環境や文化的背景に応じた治療プロトコルを検証し、低コストで効果的な視覚リハビリテーションモデルの構築を進めている。
本セミナーでは、本学発の医工学研究が、産学医連携を通じて実用化から国際展開に至った過程を紹介する。ゲーム技術と医療機器を融合させた新しい治療アプローチが、従来法の限界を克服し、世界の小児眼科医療に貢献する可能性について報告する。